金融用語辞典
更新日:20070709

アナリストの株価予想の作り方

 リサーチ・アナリスト(以下、アナリスト)は、企業業績を予想したあとで、その業績を織り込んだ株価を予想します。上記の「財務指標の関連図」(「業績予想と財務分析との関わり合い」)では、図の左側の方に1株当り純利益(EPS)に株価収益率(PER)を乗じて株価を求めるという部分がありますが、これに当たります。
 アナリストによる株価予想とは、「何月何日のX株の株価は***円」といったものではなく、アナリストがその株について妥当と考える価格水準を示すことをいいます。株価は市場における需給関係によって時々刻々と動いています。しかし、株価予想をする場合には、株価の背後には人々がその株の妥当水準(投資価値)は、この位だろうという暗黙の合意(コンセンサス)があるはずだという前提に立ちます。そして、アナリストが自らの業績予想に基いて妥当水準はこのぐらいだと提示し、市場参加者たちがその水準に同意すれば、株価はその水準に向けて動いていきます。こうした妥当水準の予測が、アナリストの仕事なのです。
 株価の予想に使われる方法はいろいろありますが、実務の世界でもよく使われているのは1株当り純利益に妥当PERを乗じて妥当株価を求める方法です。
 1株当り純利益はすでに予想したものがありますから、あとは妥当PERの決め方です。PERとはPrice-Earnings Ratioの頭文字をとったもので、株価収益率と訳されます。株価を1株当り純利益で除した値で、利益に比べて株価が何倍まで、あるいは何年分の利益まで買われているかを示します。
 問題は、その妥当値の決め方ですが、これはもっぱら経験値に頼ることになります。
 ひとつは、対象銘柄の過去のPER(例えば月次平均の前5年分など)をとり、その平均、高値ゾーン、安値ゾーンを見ます。現在のPERがそのどの辺に位置するか、また、上昇、下降どちらを向いているか等を検討して、向こう6か月ぐらいは通用しそうなPER水準を決め、これを妥当PERとする方法です。
 もうひとつは、比較可能な複数(一般的には同業他社が多い)の株式の現在のPERとの比較です。同業他社比較と同じやり方で、平均値をとって比較したり、最高値、最低値と比較したりして、対象銘柄の妥当水準を決めます。
 妥当PERが決まれば、それに予想1株当り純利益を乗じて妥当株価が得られます。この妥当株価と時価とを比べて、割安ならば買い銘柄、割高ならば売り銘柄と決めるわけです。ただ、この判断はそのままではなく、「株価レーティング」という形で発表されます。株価レーティングとは、所定の期間内における株価の予想値上がり率または予想値下がり率の大小を順位付けたうえで記号化したものです。なお、債券のレーティング(格付け)と異なり、株価レーティングの場合、その多くは株式発行企業の財務の品質評価とは関係ありません。あくまでも、株価の予想騰落率の大小を順位付けし記号化したものなので、注意が必要です。
 株価レーティングの作成対象や作成方法は発表機関によって違いますが、わが国で行われているものは、およそ次のようになっています。
 
(1)騰落率の相対的大小によるものが多い。つまり、個々の株式の予想騰落率を市場平均(TOPIXや日経平均など)の予想騰落率と比べて、その相対比を求め、この相対比の大小を記号化する。
(2)市場平均指標としてはTOPIXが多い(日経平均も少数ある)。
(3)表記法は、A,B,Cまたは1,2,3が多い。
(4)騰落率の区分は「10%超上回る」「±10%の範囲内」「10%以上の下落」が多い。
(5)評価期間は6か月が多い。つまり、この期間内に予想騰落率が実現する確率が高いということである。3か月や1年半というものもある。

 株価レーティングの変更そのものが材料視されて株価が動くことが多いので、投資家は常時目配りしておく必要があります。
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