金融用語辞典
更新日:20151018

小さな政府

 ちいさなせいふ
 limited government
 小さな政府とは、政府の規模、すなわち政府の経済への介入を可能な限り小さくし、経済活動を民間すなわち市場に任せるべきだとする思想または政策です。「安上がりの政府」ともいわれます。小さな政府の対極にあるのが「混合経済」です。
 小さな政府が重視されるようになったのは、1980年以降です。戦後の主要諸国では、市場経済の欠点を補うために混合経済体制が採用されていましたが、1970年代になると、混合経済体制は行き詰まりを見せました。先進諸国は、インフレと経済停滞が同時に起こるスタグフレーションに見舞われました。そうした中で、政府が大きくなったことに伴うさまざまな弊害が問題とされるようになったのです。すなわち、政府の失敗が問われるようになり、たとえば、ケインズ主義はインフレや財政赤字の原因として指摘され、福祉政策は勤労意欲の喪失、企業活動の停滞、などを招いたとして攻撃されました。また、国有企業を初めとした公共部門の非効率性も指摘されました。
 こうした中で台頭したのが新自由主義です。新自由主義は大きな政府を批判し、小さな政府への復帰を唱えました。新自由主義によれば、政府の役割の肥大化が市場経済の活力を衰弱させてしまった、ということになります。ゆえに、政府の介入を大幅に縮小し、市場経済の機能を十分に発揮させることが経済を健全に発展させるうえで必要なことである、と主張しました。そして、政府支出の削減、減税、金融の引締め、政府規制の撤廃、国有企業の民営化、など、一連の政策を主張するようになりました。
 こうして、1980年代になると、米レーガン政権、英サッチャー政権などが、小さな政府を目指す政策を展開しました。社会主義の崩壊という事態も後押しして、1990年代以降、小さな政府を目指す動きはさらに大きな潮流となって世界に広がることになりました。
 日本においても、米英のように迅速ではなかったし、政策運営の紆余曲折がありましたが、1980年代以降、規制緩和、行財政改革などの小さな政府を目指す動きが進められてきました。これらの政策は、たとえば国鉄の民営化、電電公社の民営化、電気通信事業の規制緩和などで、一定の成果を上げたとみられています。
 金融  混合経済  財政赤字  新自由主義  スタグフレーション
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