金融用語辞典
更新日:20151130

事業再生

 じぎょうさいせい
 事業再生とは、企業が倒産状態に陥った場合に、そのまま会社を清算するのではなく、債務の一部免除や弁済期の繰延べなどを行いながら、収益力や競争力のある事業を再構築することです。
 企業が倒産状態に至ったときに、すべての資産を売却・破棄等で処分すると事業価値が大きく毀損するので、再建の見込みがある場合には再建計画を立て事業再生を行います。事業再生がうまくいけば、従業員の雇用も可能な限り維持でき、事業を存続させることもでき、債権者にとっても、会社を清算するよりも多くの金額を回収できる可能性が出てきます。事業再生を行うための必須条件としては、過去の負債を圧縮し、リストラクチャリングを行うことで資金繰りが回復することと、再生に値する事業が存在することが必要です。
 事業再生の手法には、裁判所で手続を行う法的再生と、裁判外で手続を行う私的再生の2つがあります。法的か私的かの選択は、「債権者の数が少ない場合など利害関係者間の調整が容易な場合「「倒産が公になると事業上致命的なマイナスとなる場合」などでは私的再生が用いられます。逆に債権者など利害関係者が多くて利害関係の調整が容易でなく、一部の強硬な債権者が法的手続を強行し、債権者間の公平が図られなくなるおそれがある場合は、法的整理になるのが一般的です。
 民事再生法などの法的手続き・公的整理を選択した場合には、法的強制力をもって行われ、金融機関への弁済だけでなく、事業継続に不可欠な取引先への支払いも停止されます。この結果、仮に過剰債務の整理ができても、その後の取引が円滑に行えず、事業再建が困難になることがありました。
 このため、新設されたのが、事業再生ADRの制度です。ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続きのことで、2007年の「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)の施行により、当局の認定を得て民間の事業者がADR事業を営めるようになりました。
 事業再生ADRは私的整理の一種ですが、民事再生同様に、債権者には債権放棄にかかわる損失の無税償却が認められ、債務者にも債務免除にかかわる免除益に税制上の優遇措置が認められています。
 事業再生ADRの申請事例は、2009年には8月のさいか屋(百貨店)、9月のウィルコム( PHS通信の会社)、同月のアイフル(消費者金融)、11月の日本航空などがあります。
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