金融用語辞典
更新日:20140825

財政赤字

 ざいせいあかじ
 budget deficit
 財政赤字とは、政府の歳出歳入を上回ることをいいます。なお、政府の決め方(地方公共団体などを含むか等の範囲)や、歳入歳出の捉え方によって、財政赤字の大きさは変わってきます。一般には、国の一般会計予算における公債金収入という会計制度上の赤字が用いられますが、それとは別に、国民経済計算(SNA)上の公共部門の準貸出/純借入(従来の貯蓄投資差額)からみた赤字が用いられることもあります。
 わが国では長引く不況から歳入が落ち込み、さらに経済対策等のための財源確保から国債が増発され、国債や借入金、国庫短期証券(割引短期国債に相当する額を除く)などの残高を合計した国の借金は増大し、その結果、GDPに対する国の借金の比率は200%を超える水準になっています(2012年度末)。
 こうした財政赤字の要因は、景気循環的な要因と構造的な要因に分けることができます。景気循環的な要因とは、税収や失業保険給付費のように景気によって左右されるもののことです。構造的な要因とは、景気対策による財政支出や減税、社会保障費など、それ以外のもののことです。景気循環的な要因による赤字は、好況期になれば税収が増え黒字化しますが、構造的な要因による赤字は好況期になっても黒字化しません。
 現在のわが国の財政赤字は、バブル崩壊後に繰り返された景気対策などの構造的な要因の影響が大きいといえますが、近年は高齢化の進展による社会保障関係費の増加など構造的な要因も大きくのしかかってきています。さらに、2011年度以降は東日本大震災の復興費といった特殊要因も加わっています。
 財政赤字が巨額になり、国債が増発されると、民間資金を圧迫し、民間活力を低下させ、クラウディング・アウトを生じさせたり、通貨の過剰な供給によりインフレを引き起こしたりします。また、大量に国債を発行することで、国債の利払費や償還額が巨額になり、財政硬直化の大きな原因となります(一般歳出が制限され自由度が低下)。さらに、財政赤字が拡大すると、国の信用力が低下し(わが国の格付けが低下し)、通貨価値が下落するとともに、場合によっては輸入インフレを引き起こすこともあります。
 わが国は高齢化社会を迎え、今後、社会保障費は益々増加し、税収減をもたらすことになります。このような状況のもと、財政赤字の拡大は、世代間の所得移転の公平性を阻害することにもなるため(世代間の不公平)、財政再建は避けては通れない所にきているといえます。
 財政状態を示す指標の中でも、政府が特に重視している指標の1つとして、プライマリー・バランス(Primary Balance: 基礎的財政収支)があります。プライマリー・バランスとは、公債金収入(借金)以外の収入と利払費および債務償還費を除いた支出との収支のことですが、これが均衡していれば、その年の国民生活に必要な財政支出とその年の国民の税負担等がちょうど均衡していることになります。現状、日本のプライマリー・バランスは大幅な赤字を続けています。政府は、まずはプライマリー・バランスの黒字化を目標としていますが、社会保障関係費や地方交付税制度、公共事業などを抜本的に見直していかなければ、その達成は困難な状況といえます。
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