金融用語辞典
更新日:20121101

公募(株式)

 こうぼ(かぶしき)
 public stock offering
 公募とは、株式の応募を広く不特定多数に求めるものです。株主割当とは異なり、既存の株主も他の投資家と同等の条件で募集に応じることになります。公募は、一般に既存株主の不利益にならないように、時価近辺の価格で行われるため、時価発行増資(株式の発行価格を株式流通市場における時価を基準にして定める株式の発行形態)とも呼ばれます。なお、一般に、その価格は時価より若干低めに決められるのが普通です。時価発行増資は、わが国における中心的な増資の形態です。
 従来、わが国では「株主割当・額面発行」増資が一般的でした。株式の市場価格とは関係なく、1株当たりの額面金額(通常50円)で、新株を既存の株主に割り当てるものです。時価が額面金額を上回っている場合、新株が割り当てられると、株価はその権利分の価値だけ値下がりするため、既存の株主に払込み強制力が働くことから、円滑に増資ができます。
 しかし、昭和40年台半ば(1970年)頃から、公募による時価発行増資に移行します。昭和40年(1965年)の証券不況の一因が、それ以前に行われた、企業の収益力を無視した株主割当・額面発行による大量増資(=過剰株式発生)にあったとの反省からです。時価発行増資の第1号は、昭和44年(1969年)の日本楽器製造(現ヤマハ)です。
 企業の自己資本の充実等による国際競争力強化の必要性を背景として、その後、大型優良企業が続々と時価発行増資に踏み切り、時価発行増資が増資形態として定着していきました。
 時価発行増資は、コスト面からも最も効率的な企業金融の方策であり、また、プレミアム還元策(増配や株式分割など)を明確にするという慣行が確立したことによって、既存株主の権利を害することなく、広く証券市場から資金調達を図る手段であるとの認識が、株主および投資家に浸透した結果ともいえます。
 なお、企業が計画している増資が、収益力等からみて過大なものであれば、市場は、株価の下落という形で増資計画を拒絶します。こうした抑止力が働くことなどが、時価発行増資の大きな利点といえます。
 時価発行増資は、有効な資金調達方法といえますが、時価で株式を発行するため、企業は将来の株価に対する責任があります。また、引受証券会社にとっても、引受手数料が入る半面、発行会社の資格審査、発行価額の決定など責任が重くなります。
 時価発行増資は、発行済株式数が増大し、1株当たりの利益が希薄化するため、株主にとっては一見不利のようにみえます。しかし、その資金が新規設備の建設や研究開発などの前向きな投資に使われれば会社の成長を促すことになり、将来の高成長、高株価につながります。時価発行増資をバネに急成長し、優良企業に変身した例は数多くあります。ただし、発行済株式数が増大するとともに、新たな株主も増えるため、需給関係が悪化し、株価下落につながることもあります。
 発行価額  株式  株式市場  株主割当増資  株主  第三者割当増資  有償増資
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