金融用語辞典
更新日:20150725

ハイブリッド証券

 はいぶりっどしょうけん
 hybrid security
 ハイブリッド証券とは、資本と負債の性格を併せ持った証券をいいます。具体的には劣後債永久債優先株式優先証券などを指しますが、わが国では2006年秋以降、一般事業会社が積極的に利用し始めたところから、新たな資金調達方法として注目を浴びています。
 2006年9月にイオンが日本企業初の50年物超長期の劣後債を310億円発行しました。これは、債券であるため株式が増えないので1株当り純利益が減ることがなく、株式価値を損ないません。一方、債券ではあるものの償還期限が極めて長く弁済順位も劣ることなどから格付会社が50%の資本性を認めました。つまり株式に似たものと認定しました。そのため格付けへの影響は軽いものにとどまりました。続いて11月には、新日本製鉄が子会社を使ってハイブリッド証券(優先出資証券)を発行し3,000億円もの資金を調達して、市場を驚かせました。やはり上記のようなメリットを考慮しての行動でした。
 1株当り純利益の希薄化(株価下落要因)と債券格付けの低下(社債価格下落要因)とを同時に回避したいという企業の要求に応えたところにハイブリッド証券の特性があります。一方、投資家は主として銀行や生命保険会社ですが、手持ちの株式社債の価格に悪影響を及ぼさず、しかも貸出や普通社債よりは高い利回りで資金運用をできるというメリットがあります。
 ただ、良いことずくめではありません。思わざるリスクもあります。ハイブリッド証券のメリットが、規制当局や格付機関の認定に依存しているという弱さです。2006年春、NAIC(全米保険監督官協会)は保険会社の自己資本比率規制規則を変更し、これまで「債券」と認めていた優先出資証券を「株式」と認定変更すると発表しました。これは保険会社の自己資本大幅積増し(0.3%を30%へ)につながることから優先出資証券の相場は急落しました。影響の大きさに驚いた協会は決定を取り下げましたが、市場に規制変更リスクの存在を印象付けました。もう1つ、資本性の認定も格付会社の基準に依存しており、基準が変わればハイブリッド証券の魅力がなくなるというリスクを抱えています。さらに商品構造の複雑化に伴って、現行の会計基準ではその発行条件に疑義がある事例も発生しており、これもリスクの1つです。
 永久債  株式  会計基準  希薄化  子会社  リスク  利回り  劣後債  債券  債券格付け  資本  社債  優先株式  優先出資証券  優先証券
戻る