金融用語辞典
更新日:20151018

ITバブル

 あいてぃーばぶる
 ITバブルとは、1990年代末に米国を中心に世界的な広がりを持ったバブル経済状況をいいます。パソコン・携帯電話およびその関連機器、コピー機やファックス機器などの事務用機器などに新製品が相次いで発表され、爆発的に普及したこと、さらには通信回線とコンピュータが結合した情報ネットワークの構築など、情報技術(Information Technology ; IT)に関連する産業が中核となり、その拡大・急成長が米国だけでなく世界経済全般の好況をけん引したところから「ITバブル」と呼ばれます。また、電子メールやインターネットがめざましく普及し、社会のあらゆる場面で情報化が一気に進展しました。
 「バブル」を象徴しているのは、関連する新興産業を多く含む米国NASDAQ市場の急騰・急落です。NASDAQ総合指数は、1998年10月に1,357ポイントの底を付けた後、2000年3月の5,132ポイントまで、1年半のうちに4倍になる暴騰を見せました。
 パソコン、半導体、同関連機器、携帯電話等の通信機器、コピー機、ファックス機器等の生産会社の高収益と高成長、それに伴う大幅な設備投資に加え、ソフトウェア開発、放送・ネットワーク関連技術、システム技術などの需要も高まって、関連企業は空前の好況を享受しました。新会社の設立に伴って技術者の雇用が進み、失業率の改善をもたらしました。また、国内での技術者調達が難しいため、インフラの整ったインド等へのアウトソーシングの動きも活発化しました。株価の高騰は、株式交換による買収・合併が盛んに行われ、特に放送やネットワーク関連業種で大規模な再編が進行しました。
 この間、経済学の分野では、いわゆる「ニューエコノミー論」が台頭しました。1990年代の米国は、ほぼ全期間にわたって低失業率と低インフレ率が共存するという珍しい経過をたどりました。本来、低失業率は好況を意味しますから、いずれ賃金の上昇等を通じてインフレにつながるはずです。ところが、こうした通説に背く状態が10年近く続いたため、米国経済は新しい局面、つまりニューエコノミーの時代に入ったのだという主張が現れたのです。
 その理由とされたのが、IT革命による生産性の上昇がその他の生産要素の上昇を打ち消すことです。さらに、IT投資は省力化につながるところから賃金上昇要求を抑止するというのです。
 しかし、ITバブルは、古典的な「過剰投資による景気後退」を迎えるという皮肉な結果で終わりました。NASDAQ総合指数は反落し、2002年10月まで下げ続けました。景気後退は8か月間続き、連邦準備制度理事会(FRB)は合計5.5%の大幅利下げ、政府はGDP比で1%相当の減税をそれぞれ行い、景気てこ入れをはかりました。
 それまでの景気後退に比べ軽微にとどまったことは、大幅な利下げと金融緩和という思い切った金融政策によるものと賞賛されました。
 FRB(連邦準備理事会)  暴騰  株式交換  金融政策  景気  好況  生産要素  生産性  てこ入れ
戻る